ぎっくり腰
ぎっくり腰
症例2
患者

30代男性
来院時の症状
ぎっくり腰。
来院日の朝、荷物を置いて再度持ち上げようとした際に突然痛みが出現。
どのような動作も辛く歩くことさえままならない状態。
治療・経過
痛みは腰全体ということでしたが、その中でも、軽く押して痛みを確認すると、どうやら、仙骨の辺りに痛みが集中している様子。
この痛みの集中しているところに、鍼を一本。(皮膚から3ミリ程度の深さの鍼)
このようなぎっくり腰の場合、鍼をしてそのまま刺したままにすることはありません。
鍼をしたらすぐに抜いて、状態を確認して必要であれば、また鍼をするということを繰り返します。
施術の効果は、てきめんに現れたようで「来院する前とぜんぜん違う」とのことです。
このような劇的な効果が出たのは『私の腕が良いから!!』と言いたいところですが、如何せん、そうではなくて。。。この効果は、人体の治癒力と鍼灸の人体に対する生理的反応のおかげです。
まとめ・術後録
鍼灸の施術で、どうして痛みが無くなるのか?(無くなったというより、抑えられるか?といった方が正しいけれど、あたかも、無くなったかのように感じるほど、効果的面な結果に、しばしば遭遇します。)
しかも、ほんの少しの刺激で、先ほどまで立ち上がれないほどの腰の痛みが劇的に無くなるのか。何度もこうした施術効果に直面しても、その効果に驚くばかりです。
経験として、その効果が得られることが分かっていても、「どうしてそのような作用が人の身体に働くのか...」を知りたくなるのが、やはり、人の知的好奇心というもの。
その知的好奇心によって、科学的な視点から様々な方が研究を重ねられ、鍼灸の鎮痛効果について、少しずつ分かってきています。
いくつもの 作用が働いて、痛みを和らげている「人体の生理的スーパーシステム」の鎮痛作用の一つに、「広汎性侵害抑制調節」(こうはんせい しんがい よくせいちょうせつ)というものがあります。
皮膚に対して、「チクッ」とする些細な刺激が(脳の延髄(えんずい)や視床(ししょう)といった場所に作用して)たちどころに痛みを抑えるという無意識の反応。
痛みの出ている原因と思われるところに、皮膚から3ミリ程度の深さの鍼をして得られた劇的な効果は、この調節作用による結果だと思われます。
もともと人体に備わっている、これらの痛みを抑える生理的作用を上手に引き出すのも、鍼灸の得意なところです
症例1
患者
男性 40代
来院時の症状
数週間前から違和感(「ここ数週間、普段よりも腰の重さが抜けない感じがしていた。」)があり、3日前より起き上がるのも辛く、激痛が出現。
来院された時も前かがみで、一歩、歩くごとに痛みが走る状態。
近隣の病院にて、レントゲン検査の結果「多少、骨の変形が見られる程度」とのこと。
治療内容と経過
常に痛みがあり、立っているのも、座っているのも辛い。
ベットにうつ伏せになるのも、仰向けに寝るのも辛いので、横になった状態(どちらか楽な方の肩を下にして、ヒザを曲げた状態。)は楽と言うことなので、横になった状態での治療。
特に、痛む左側の腰を軽く押しただけで、ピンポイントに痛む場所がある。
背中から腰に掛けての筋肉の緊張やお尻の張りもあるけれど、何はともあれ、腰の痛みを楽にすることを考えた。
治療の方法は、ピンポイントに痛む部分とその周囲に少し「チクッ」っとする刺激のお灸(普段なら感じる刺激でも、腰の痛みでほとんど感じないようです。)と1ミリも刺さない程度の鍼(こちらもほとんど感じるか感じないか程度の刺激。)治療時間は、20分程度。
治療後、ベットから体を起こしてもらうと、「曲げなければ辛かった腰が伸ばせるようになった。」とのこと。ただし、やはりまだ違和感が残る。その後、もう一度、同様の施術。すると、「先ほどよりも違和感が無くなった。」とのこと。
施術後の効果の確認で、歩いてもらうと。。。腰も伸ばせるようになり、歩くのも楽くなった。
まとめ ・術後禄
全体に筋肉の緊張も強く、だいぶ疲れも溜まっていたのではないでしょうか。
施術を2回重ねました。術後の痛みの感想は「7割程度取れた。」とのことでしたが、初めて来院されたその日のうちに、3回4回と、もっと治療を重ねれば、もっと楽になるかと言うと。。。案外そのようなことは無いです。
特に今回のように強い痛みのぎっくり腰の場合には、治療日数を3日連続で、来て頂くようにお願いしています。
3日掛けるのは、痛みが治まっても肝心の炎症は収まっていないため。
そして、強い痛みが楽になった分の、揺り戻しがないように、また今後痛みが出ないようにするためです。
その後、2日続けて治療を重ねました。
「痛みは8割方取れたが、腰に不安が残る。」とのこと。
おそらく、今回の痛みの本当の原因は、慢性化した身体の芯の疲れと思われるので、背中から腰、臀部、ももの裏、ふくらはぎ、そしてお腹の緊張が取れるよう施術。
その後、1週間後に来院された時には、「疲れが溜まると違和感が出る」程度にまで回復されました。